エントリーシートでゼミの活動内容を効果的にアピールするコツ【例文あり】
目次
ESでゼミでの活動内容について聞かれる理由
学生の興味・関心について知りたい
ゼミ(理系の学部では研究室と呼称されることが多い)の学習や研究の内容は場所によって様々です。
その中から、学生は自分の興味・関心に応じて所属したいところを自ら選び、志願する場合が多いでしょう。
希望したゼミに必ず入れる訳ではありませんが、その場合でも配属先でどのような研究テーマを選んだのかという点には興味・関心が影響するはずです。
つまり、エントリーシート(ES)でゼミについての質問を聞くことで、企業側は応募者の興味・関心について知ることができます。
興味・関心は人柄や仕事のモチベーションにも関連するため、知りたがる企業が多い事柄です。
ゼミの場合、研究の内容が仕事に直接関連するという応募者も少なくないため、そこでの活動について聞かれることが多いのでしょう。
物事に取り組む姿勢を知りたい
学部卒の学生であれば基本的には1年ほど、大学院卒の学生であればもっと長い年月を研究に費やします。
そのため、企業側はゼミでの活動について知ることで、長期的な活動に取り組む姿勢についても知ることができます。
これらは仕事にどのような姿勢で取り組んでくれそうかということを判断するための有用な材料になります。
企業側は採用に多大な時間とコストを掛けているため、内定を出した応募者にはなるべく長く働き続けて欲しいと考えるものです。
それ故に、応募者が長期間の仕事でも真面目に、熱心に取り組むことができそうかという点を重視しているでしょう。
入社後に活かせる知識・スキルを知りたい
ゼミでは専門性の高い研究をするため、それが仕事と強く関連を持っている場合があります。
企業や職種によっては、入社前の段階で応募者に一定の専門的な知識・スキルを求めることもあります。
そのため、ESでゼミでの経験について聞くことで、企業側は仕事に活かせる専門的な知識・スキルをどれほど有しているかということを確認できます。
反対に応募者からしても、自身の知識・スキルをアピールできる絶好の機会と言えるでしょう。
専門的なもの以外にも、ゼミでの経験からは応募者の様々なことを知ることができます。
活動に対する自主性の高さ、研究には付き物である課題への取り組み方や解決力、論理的思考力などです。
いずれも汎用性の高いスキルであり、多くの仕事で求められます。
研究と仕事に直接の関連性が無くても、ゼミでの経験が注目されやすいのは、これらを十分に持っているかを確かめるためでもあります。
ゼミ活動をわかりやすく伝えるESの書き方
ゼミや研究テーマの概要と選んだ理由
まずは何を専攻とするゼミに所属し、どのような研究テーマに取り組んだのかという概要を簡潔に述べましょう。
そこから専攻のイメージができる場合には、研究テーマだけを説明しても構いません。
研究テーマには専門用語が入っていることが多くあります。
しかし、それが読み手に伝わるとは限らないため、簡単な表現に言い換えるなど、誰に対しても分かりやすくなるように工夫することが大切です。
次に、そのテーマを選んだ理由を簡潔に説明しましょう。
研究の分野に対して、魅力的に感じたことや気になったこと、解決したかった課題などがあるはずです。
なんとなく選んだのではなく、きちんとした理由があってそこを選んだという、ゼミ活動に対して意欲的である姿勢を見せられると良いでしょう。
具体的な取り組み
研究テーマに関して簡潔に伝えることが出来たら、具体的な研究の取り組みを説明しましょう。
採用担当者はゼミでの経験から、主に物事に取り組む姿勢や人柄、スキルを知りたいと考えています。
そのため、ただ取り組みについて伝えるのではなく、取り組みの中で直面した課題、そして課題にどう対処したかということを軸に話を広げられるとより好ましいでしょう。
採用担当者の知りたいことが色濃く表れるこの部分が、最もアピールに有効な場面であると言えるため、時間をかけて推敲することをおすすめします。
経験から得られたものを入社後どう活かすか
ゼミでの経験について具体的に述べられたら、そこで得られたものについて述べましょう。何らかの学びを得たり、伸ばすことができたスキルがあるはずです。
企業は仕事を通してスキルアップし、将来的に会社により大きく貢献してくれる人材を求めています。
得たものを示すということは、経験を通してしっかりと成長していける人材であるというアピールをすることに繋がります。
可能であれば最後に得られたものを入社後にどう活かすかを示し、文章を締めましょう。
ゼミ経験に関する記入欄は、応募者のアピール欄の一つでもあります。そのため、最後までアピールが重要となります。
得たものを仕事で活かすことができるならば、企業にとって書き手はより魅力的な存在に思えるでしょう。
ESのゼミでの活動内容の例文
100字以内の場合
ジャーナリズム論のゼミに所属し「ソーシャルメディアにおける情報の拡散と信頼性」について研究しました。情報源が多様化する中、情報の真偽を見極め、信頼できる情報を発信することの意義と重要性を考察しました。(100字)
ゼミ活動に関する設問の文字数制限が100字以内と少ないこともあります。テーマ選定の理由や詳しい研究内容までを記載することはできないため、構成としては例文のように、ゼミの専攻や研究テーマを短く述べ、研究内容を大まかに説明する程度で問題ありません。
詳細は面接で深掘りされる可能性が高いため、取り組みの内容や得た学びやスキルに関して、具体的に話せるように準備をしておくことをおすすめします。
200字以内の場合
私は犯罪心理学ゼミで犯罪率減少のための社会的な取り組みについて考察しました。重大事件の加害者は幼少期に置かれた社会環境が劣悪であった場合が多いと知り、犯罪心理学に興味を持ったからです。統計分析やアンケート調査の結果、地域コミュニティが活発な地域では少年犯罪発生率が低い傾向がありました。このことから犯罪は個人の問題だけでなく社会全体の問題であり、青少年を見守る社会気運の情勢が必要であると感じました。(200字)
文字数制限が200字以内の文章は依然としてコンパクトですが、100字以内の文章と比べて記載できる内容は増えています。この場合、例文のように、研究テーマを選んだ理由、活動経験から得た学びに関する記載を入れると良いでしょう。
選んだ研究テーマから、企業は応募者の興味・関心や人柄を読み取ろうとします。文字数に余裕があればゼミでの活動を通して自分が学んだことや成長したこともあわせてアピールしましょう。
300字以内の場合
私は人間環境学部のゼミで都市部にありながら豊かな自然環境を維持する街づくりについて研究しました。環境問題が深刻化する中、人と自然が共生できる社会を実現することは喫緊の課題となっているからです。研究ではドイツのフライブルク市の事例から、市民参加型の都市計画の在り方や、公共交通機関の充実、再生可能エネルギーの導入の方法などを考察しました。
研究を通して、人と自然が共生する街づくりには、行政、市民の意識、企業の活動が三位一体となって推進することが重要であると学びました。この研究で培った分析力、問題解決能力、そして人と自然を繋ぐ情熱を活かして、貴社でサステナブルな社会の実現に貢献したいと考えております。(300字)
300字になると、研究テーマ、そのテーマを選んだ理由、研究内容、研究で得た学び、それをどう仕事で活かすか、という企業側が知りたいであろう情報を一通り説明する余地があります。研究内容は200字の時よりも少し厚めに記述してOKです。
この例文では理想の社会を実現するために何が必要なのかを研究を通して自分なりに考察できているほか、研究内容と応募企業で実現したいことに関連性があり、企業側に自社との適性をアピールできています。
400字以内の場合
現代社会において共働き家庭の増加や核家族化により、親子間のコミュニケーション不足が深刻化しています。そこで私は理工学部のゼミで、遊びを通して親子のコミュニケーションを促進するゲームについて研究・開発しました。
ゲーム開発にあたり、親子へのアンケート調査やインタビューを行い、ニーズを分析しました。開発段階では、実際に親子を対象としたテストプレイを行い、子供の反応や親子の会話内容を詳細に観察しました。また、心理学の専門家やゲームデザイナーと意見交換を重ね、子どもたちの興味関心を高め、親子の共感を生み出すゲームデザインを追求しました。試作品を製作し、親子を対象としたテストを実施した結果、ゲームを通して親子の会話が活発になり、互いの理解が深まったという評価を得ました。
この研究で培った、ユーザーのニーズを分析し、創造的なソリューションを開発する能力は、貴社の事業開発においても活かせると考えております。(400字)
文字数制限が400字以内ともなると、アピール文としての機能を十分に果たせるようになります。具体的な活動内容や研究を通して得たものをしっかりと説明し、それがどう仕事に役立つのか企業にアピールすることを意識しましょう。
また文章が長くなるため、読みやすくするために構成にはより気を遣う必要があります。
構成は「ゼミや研究テーマの概要」と「選んだ理由」から始め、「研究内容」を具体的に述べ、「得たもの」についての話で締めるのが好ましいでしょう。
ESでゼミを伝えるときのポイント
専門用語は使わない
ゼミでは専門分野を扱う関係上、活動について専門用語を用いて説明したくなることもあるでしょう。しかし、ESは読み手が疑問に感じたことをその場で書き手に確認するということはできません。
そのため、どのような人が読み手になったとしても理解してもらえるように内容を書かなければいけません。
専門用語を使わずに別の分かりやすい表現に置換するようにしましょう。
専門用語を用いた方が内容を書きやすいという場合には、簡単な説明を添えるようにすると良いでしょう。
例えば、「採用選考応募者の人柄やスキルを知るための質問用紙であるエントリーシート」というようなイメージです。
分かりやすく書くということはゼミに関する質問に限らず、ES全体を書くうえで意識しましょう。
内容は簡潔に
ESにおける文章での回答は、基本的には数百文字を要します。すなわち、冗長だと読みにくく、内容を掴みにくい文章になってしまいやすいです。
そのため、内容は簡潔にし、何を伝えたいのかという要点が明確に分かる文章にすることが好ましいです。
簡潔で分かりやすい文章を書く方法として、「PREP法」というものがあります。
これは以下のような展開で文章を構成していくものです。
①Point(結論):「私の長所は○○です」のような最も伝えたい要点
②Reason(理由):①の結論に至った理由
③Example(具体例):①と②について納得させる具体的な事例
④Point(結論 / まとめ):①の要点の表現を変えた再提示
構成が非常にシンプルであるため、話の流れを掴みやすく、要点が分かりやすいというメリットがあります。
自己PRや志望動機など、ESや面接への回答で幅広く応用できるため、おすすめの方法です。
企業が求める人物像を意識する
ESでゼミ経験を書く際のアピール内容、及びそれを裏付ける具体例は企業が求める人物像に合わせることで魅力がより伝わるでしょう。
例えば、「活発で何事にも積極的な人材」を求める企業に「黙々と作業を続けられる」という強みはあまり響かないかもしれません。
そのため、より良いアピールのためには企業研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているかを把握しておく必要があります。
企業側は公式サイトや求人サイトで「求める人物像」を明確に提示している場合があります。
そうでない場合には、社員インタビューなどを読んで社風や実際に働く人の人柄を掴むことで求める人物像を推測することができます。
ゼミに入っていない場合は?
ゼミに入っていない理由を書く
ゼミへの所属が必須ではないなどの理由から、ゼミ活動の経験が無く、質問に答えられないという人もいるでしょう。
その場合は、記入欄を空欄にはせず、まずはゼミに入っていない理由について書きましょう。
このとき、「興味のあるゼミが無かったから」などネガティブな内容を書くと、消極的な学生に見られ、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうでしょう。
そのため、できるだけ「長期インターンや留学と重なったから」などポジティブな内容を書くことをおすすめします。
ゼミの代わりに取り組んだことを書く
ゼミに入っていない理由を書いたら、それに代わる学生時代の取り組みについて伝えましょう。
企業側がESでゼミについて聞くのは、「応募者の学生時代での取り組みや得た学び」を知りたいということが大きな理由です。
この「企業側がゼミに関する質問で知りたがっていること」を意識し、それに応えられる内容を代わりに書けると良いでしょう。
ゼミの代わりに書ける取り組みの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 部活動
- サークル活動
- 長期インターン
- 留学
- 課外活動
- 資格勉強
- アルバイト
ゼミの経験が無い場合には、上記を参考に、より良いアピールができる題材を選んでみてください。
【ESにゼミ記入欄がない】ゼミの経験をアピールできる項目
ゼミでの経験で企業側に是非ともアピールしたい内容があるのに、ESにゼミに関する記入欄が無いという場合もあるでしょう。
その場合は、後述するような記入欄でも、ゼミに関するアピールを行うことができます。
ただし、記入欄に付随する質問の趣旨に沿うように内容を書く必要があることには注意しましょう。
自己PR
自己PR欄は、その名の通り、自身のアピールポイントとなる強みや長所について企業側にPRするということが趣旨となります。
自己PRには主流とされる書き方があります。
まず「私の強み・長所は○○です」と宣言し、何についての話をするのかを読み手に明確に伝えます。
次にそれが表れているエピソードを具体的に説明して説得力を出します。
ゼミについての話はこのときに展開できるでしょう。
最後にそれを仕事にどう活かしていくかを伝えて締め、読み手に働いたときのイメージを想像してもらい、文章を締めます。
つまり、ゼミでの活動について書く場合には、ゼミでの具体的なエピソードに紐づく強みや長所を見つけ、それを主軸に話を展開する必要があります。
志望動機
志望動機欄は、何故その会社に入りたいのかということが主軸の話を書いていく必要があります。
志望動機にも書き方のセオリーがあります。
まずは「私は○○という理由で貴社を志望しています」と何に魅力を感じたのかについて一言で説明し、話の主軸を読み手に提示します。
次に何故魅力を感じたのかということを具体的に書き、動機の掘り下げや裏付けをしていきます。
そして最後に、どのように働いていきたいかという将来像を伝えて締めましょう。
ゼミについて書く場合、それが志望動機に大きく関連している必要があるため、ゼミでの研究内容と仕事に関連がある場合には、書き進めていきやすいでしょう。
ガクチカ
「学生時代に力を入れた取り組み」、通称ガクチカの記入欄では「学生時代の取り組み」が話の主軸になります。
ゼミも学生時代の取り組みに該当するため、最もゼミでの活動に関してスムーズに書き進めやすい記入欄であると言えるでしょう。
ゼミに関するガクチカの主流となる書き方は以下の通りです。
まずは「私が学生時代、ゼミでの活動に力を入れて取り組みました」というように始めます。
次に、「ゼミでは○○の研究をしていました」というように取り組みの内容を簡潔に伝えます。
このとき、その研究をしていた理由も一緒に述べられると、あなたが興味・関心を持って意欲的に学業に取り組んでいることをアピールできます。
そこでの課題やそれに対してどう対処したかを具体的に説明し、そのエピソードを通して強みや長所、人柄を読み取ってもらえるようにしましょう。
最後に、ゼミでの経験から何を得て、それを仕事にどう活かすかを宣言して締めます。
つまり、ガクチカ欄はゼミに関する記入欄と大まかな構成は同じだと言えます。
ゼミに関するアピールをしたいけれど、専用の記入欄が無いという場合には、まずガクチカ欄への記載を検討することをおすすめします。
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