ガクチカで学業について書いてもいい?効果的な書き方を解説【例文あり】

エントリーシートで求められるガクチカについて、「学業以外のことにすべき」ということを聞くことも多いのではないでしょうか。そのため、必死になってアルバイトや部活などに精を出す就活生もいます。しかし、学生の本分ともいえる学業は、本当にガクチカにならないのでしょうか。その真偽を確かめるとともに、実際に学業のことをガクチカに書くときのポイントを例文とともに解説していきます。

ガクチカで学業のことを書いてもいいのか

学業のアピールは企業には好印象

学業はガクチカとして十分アピールできる内容になります。学業は学生の本分であり、大学生が学業に力を入れるのは当然という考えもありますが、アピールの仕方によっては独自性の高いガクチカにすることもできます。

学業に力を入れたことは、自分の真面目さや忍耐力の強さをアピールできるうってつけの題材となります。また、学んだ知識そのものや、4年間で身に付けた技術もアピールに適した題材です。

どれだけ仕事ができたとしても、継続力や忍耐力に欠けていると仕事の評価は厳しくなります。そうした力を端的にアピールできる学業は、好印象を与えやすい題材といえます。

成績が悪くとも話す内容次第で印象が変わる

成績が悪かったり、大学が名門でないからといって、学業についてのガクチカが通用しないわけではありません。

企業がガクチカから知りたいことは、就活生の経験や人柄です。成績が悪くとも「友人と協力して試験を乗り切った」といった体験談や、「アルバイトと両立させるためにした学業の工夫」なども、十分にエピソードとして使うことができます。

ほかにも、成績を上げるためにした努力というのも考えられるでしょう。成績が奮わなくても、内容次第で魅力的なアピールポイントになりえます。

就活生も書きやすい題材

ガクチカは題材にしたものへ深く取り組んでいるほど、充実したものになります。学業は大学生ならば誰しもが経験することであり、身近な題材である分、エピソードも考え付きやすいという利点があります。

普段の講義だけではなく、ゼミでの活動やテストに向けた取り組みなどピックアップできるポイントが多く、オリジナリティも出しやすいでしょう。

また、学業は採用担当の共感を得やすい話題でもあります。多くの採用担当も大学時代を経験して今の会社に就職しているため、内容を理解してもらいやすいという強みがあります。

学業「だけ」頑張ったという印象にならないように注意

学業はガクチカとして、十分なアピール材料です。しかし、学業だけを頑張ったというのは、企業にとってあまりよい印象とはいえません。他の何かと両立させるための工夫や努力もアピールした方が印象的に仕上がるでしょう。

大学生の間は自由時間が多いため、何かひとつだけのことにだけ力を入れたというのは現実的ではなく、かえって努力が少ないというように考えられてしまう可能性もあります。

また、企業によっては明確にガクチカを「学業以外」と指定して質問する企業もあります。あくまでも学業は、いくつかあるガクチカの1つとして考え、いくつかの回答を用意しておきましょう。

学業のガクチカで企業にアピールできること

計画力

学業のガクチカでは、仕事でも重要な力である計画力のアピールができます。仕事には締切があり、それまでに仕事を終わらせることが求められるため、必ずどのようなスケジュールで進めるかの計画を立てなければなりません。

学業においても、課題や試験のためにどのような時間配分で取り組みをするのかを決め、効率的に進めることが求められます。そういった経験をガクチカの内容に含めることで、仕事にも共通して役立つ能力があることをアピールできるでしょう。

コミュニケーション能力

従来までの教員が板書するスタイル以外にも、グループワークやプレゼンテーション形式の講義を行う大学が増えています。これらの講義では、自分の事を伝える発信力や相手の話を聞いて理解する傾聴力といったコミュニケーション能力が試されます。

また、それらを円滑に進めるためには、日頃からメンバーと連絡を取り合う必要があります。仕事では常に他の誰かと関わる必要があり、指示を受ける上長だけではなく、できた仕事を受け取る次の工程の人もいます。仕事を円滑に進めるためには、日頃から相手とコミュニケーションを取っておかなければなりません。

学業で身に付けた発信力や傾聴力を仕事で発揮できれば、日々の業務を円滑にこなすだけでなく、人間関係にもプラスの影響が見込めるでしょう。

義務への対応力

学生にとって、授業や試験などの学業は義務だとみなされることが多いです。そのため、学業への取り組みの姿勢からは、自身の義務への対応力がアピールできるでしょう。

仕事では、やりたいことよりもやらなくてはならないことが大半を占めます。そうした業務でも手を抜かず、自身の力を尽くして臨むという人柄が伝われば、大きなアピールポイントになりえます。

ガクチカで学業をのことを書くときのポイント

企業が知りたいのは、結果的に手に入れた力

学業をガクチカに書くときは、単純な成績アピールにならないようにしましょう。企業が知りたいことは、数字上の成績ではなく学業を通じて手に入れた力です。ガクチカにおいては、成績は二の次であるため積極的なアピールは避けましょう。

ガクチカで学業をアピールするときは、「学業そのもの」をアピールするか、もしくは、「学業を頑張った結果」をアピールします。どちらをアピールするかは、自分の取り組みの内容や志望先に合わせましょう。

1.学業そのものをアピールする

学業の内容そのものが志望先に活かせることである場合には、特に有効な方法です。例えば、経済学部であれば「経済」について講義を受けています。その講義や研究のなかで体得した知識や経験なども、十分に手に入れた力といえるでしょう。

学習したことを細かい括りに落とし込めると、分かりやすい文章になります。また、志望先の業務との関連性が高まり、採用担当も働き始めた後のイメージをしやすくなります。

2.学業を頑張った結果をアピールする

学業を頑張った結果が成果として表れたことをアピールする方法です。例えば、1年前期の成績は全て「不可」だったが、それを改善して後期からはすべて「優」にしたという、自分が成績を改善させるために、どんな努力をしたかも十分なアピール材料になります。現れた変化が劇的であるほど、採用担当の印象に残りやすくなります。

ただし、結果をアピールするときは、大学受験のことを使わないようにしましょう。大学受験は高校時代の経験です。高校時代の経験をしても魅力に欠けるだけでなく、数値が上がった下がっただけの話にしかならないため印象に残りません。

その学業に力を入れた理由を考える

ガクチカでは、その学業に力を入れた理由を考えましょう。大学では多くのことを学べる分、なぜその学業を選んだのかを説明する必要があります。


企業はガクチカから就活生の興味関心があることや、モチベーションの源泉を探っています。大学進学の理由や受講した講義の選択理由などを説明することで、間接的にそうした点を伝えることもできます。

客観的な数値で説得力を増す

学業をガクチカに書くときは、客観的な数値を入れると説得力が増します。例えば、単純に「頑張りました」というよりも、「毎日1時間の勉強を行いました」という方が、具体的に何をしたのかが伝わります。具体的な数値が分かる方が、採用担当としても就活生の努力や取り組みに関する姿勢の強さを感じ取れます。

ガクチカに限らずESで求められる項目で曖昧な言葉を使うと、自分のことが正しく伝わりません。「少し」や「かなり」といった表現は避け、具体的な数値を用いて客観的に判断できるようにしておきましょう。

学んだことをどう活かすかまで考えてみる

企業はガクチカから、実際に働き始めた後の姿をイメージしています。ガクチカで学業について書く時は、学んだことを仕事でどう活かすかまで考えてみましょう。例えば、「私のコミュニケーション能力は、貴社の〇〇で役立つ」とアピールできると、企業研究の深さも採用担当に示すことができます。

そのなかで、学んだことが業務に関連していると、企業としても就活生の意思の強さ基礎的な能力を感じられます。特に、医学部や教育学部など大学自体が養成機関である学部は、学びと仕事が直結している学部です。どれだけ自分が深く学んだのかを伝えられれば、選考も有利に進められます。

ガクチカで学業を伝えるときの例文

学業の内容をアピールする

例文

私は大学時代は教員課程を修める中で、特に児童心理について深く研究していました。

近年、学級崩壊やいじめの問題が数多く取り上げられていますが、その原因の一端として、私は先生が子どもの心を掴めてないことが挙げられると考えています。そのため、私は実際に教師になったときのことを考え、児童心理の研究を進めました。

ただ、理論を学ぶだけでは足りないと思い、2年生からは大学近くの保育園にボランティアに行ったり、アルバイト先の塾では受け持つ生徒に対して、講義で学習したことを実践しました。成功したこともあれば、失敗したこともあり、円滑には進みませんでしたが、貴重な体験をできたと思います。

私は、授業も教室運営も子どもがいてこそだと考えています。大学時代の児童心理の研究を活かして、貴校での授業や教室運営に取り組んでいきます。(400字以内)

大学時代に学んだことも、ガクチカの立派な題材です。なかでも理系学部や教育学部、法学部などは、大学での学びが企業での業務に直結するため、学業での頑張りを高く評価してもらえます。また、力を入れた内容と理由、そして、仕事での活かし方が一本の線にまとめやすいため、書く側としても書きやすい題材となります。

ただし、書きやすさの反面、どうしても他の志望者と内容が重複しやすいという欠点があります。特に同じ学部の出身となると、なかなか重複は避けられません。そこで差を付けるためには、実際の行動が重要になります。それを学習するにあたって、どれくらいの時間を割いたのか、また、より深めるための課外活動をしたのかなど、意識の違いが伝わるようにしてみましょう。

好成績を取るための努力をアピールする

例文

私は大学時代はGPA平均3.5を目標に学業に取り組んだ経験から、継続することの重要性を学びました。

高校時代はあまり勉強もせず、推薦入試で大学に入りましたが「大学は勉強に注力できる最後のチャンス」と考え、学業に最優先で取り組むことを決意しました。

毎日の講義への出席は勿論ですが、毎日の通学時間にも課題に取り組み、休日は図書館で勉強するという生活を4年間続けました。空き時間でアルバイトをしながらの勉強は辛く、「卒業できれば良い」という考えが何度も浮かびました。

しかし、その度に「好きなことを勉強させてもらっている」と思い直し、折角なら「良い成績で卒業する」ほうが、自分にとって良い結果になると思い、諦めずに勉強を続けました。結果として、目標を大幅に上回るGPA平均4.0を達成できました。

貴社の業務でも常に高い目標を設定し、その目標達成のために継続的に努力し続けます。(400字以内)

GPAとは「Grade Point Average」の頭文字を略した言葉であり、元はアメリカなどで使われている成績評価の指標です。従来と同様に「成績の良い学生が欲しい」という企業も数多く存在しています。そのような企業に対して、GPAの高さ をアピールすることは、間違いなく有効でしょう。一般的にGPAの平均は、大学にもよりますが2.5前後とされているため、4.0という成果は十分優秀といえるレベルです。

ただ、ガクチカは成績や学歴の自慢大会ではありません。アピールすべきは「成績」ではなく、「成績を取るためにしたこと」です。このガクチカでは、毎日の学習の取り組みをアピールしています。そして、その毎日の継続的な取り組みが、優秀な成績につながったことで「継続力」のアピールにつなげています。このように取り組みの内容から、得た能力や学んだことを書くようにしましょう。

資格取得を目指した学業をアピールする

例文

私は2年生のときに、FP2級資格の取得を目指して勉強を頑張りました。その経験から時間の効率的な使い方を考えるようになりました。

大学では経済を学んでいましたが、「理論よりも実学」という思いが強くなり、使える資格がある方が将来的に役に立つと考え、取得を目指しました。

独学でFP2級に合格するには、300時間の学習が必要でしたが、講義の他にアルバイトや部活動もあり捻出することは困難でした。

そこで私は2年生の講義を、FPに関係する内容の講義を選択しました。講義を問題集で振り返りFPの勉強を進めていきました。また、先輩に効率的な学習方法の助言をもらい試験対策を行いました。結果として1年で2級に合格できました。

現在、私はFP1級を目指して勉強しています。就職活動もあり勉強できる時間は、さらに少なくなりましたが、2級取得時の効率的な勉強法を実践することで、入社までに取得し、貴社で活躍したいと考えています。(400字以内)

大学時代に資格の取得を目指して勉強した経験がある人は多いのではないでしょうか。資格を持っていることは、企業に対する有効なアピールです。業務に関連する知識があれば、それだけOJTの時間を必要としない即戦力として期待できます。新卒採用はポテンシャルへの期待ですが、既に能力がある人間を採用しない理由はありません。

ただ、ガクチカで「資格を持っている」ことをアピールするのは、本来の目的とは異なります。企業はガクチカから「就活生の興味関心」を知ろうとしています。そのためアピールするべきは、「何故、取得を目指したのか」や、「そのためにどのようなことをしたのか」です。資格をアピールするときは、この点に注意しましょう。

ガクチカに学業のことを書くときの注意点

成績をアピールしても効果はない

学業をガクチカに書くときは、成績のアピールにならないように注意しましょう。大学の成績は講義ごとに担当の教授が採点する形が一般的です。また、同じような内容の講義であっても、使用するテキストなどが異なります。そのため企業としては、成績を一元的に評価するのが難しいという実情があります。評価できないものをアピールしても、企業としては採用の是非を判断できません。

成績がよいからといって、必ずしも仕事ができるとは限りません。そのため数字的な成績を語っても、大きなアピールにはなりにくいでしょう。ガクチカで学業を書くときは「成績がよいこと」ではなく、「よい成績を取るためにどうしたのか」という方法論や実際の行動を書くようにしましょう。

専門用語の使用は志望する企業に合わせておく

学業を題材にガクチカを書くと、専門的な内容を書くこともあるでしょう。しかし、それらの専門用語は専門外の人には理解できません。理解できないものを強引に使うと、その説明に文字数や時間を費やしてしまい、本来書くべき内容が書けなくなってしまいます。専門用語は極力使わず、分かりやすい言葉にすることを心掛けましょう。

ただし、自分の学業や研究内容と志望先の業務内容が一致している場合には、言い換え表現を使うことでかえって「知識不足」と思われてしまう可能性があります。志望企業に合わせて表現を変えることで、より効果的なガクチカになるでしょう。

内容は必ず1つに決める

一口に学業といっても、その取り組み方や内容は数多く考えられます。内容を「学業への取り組み」としてしまうと、範囲が広いため具体性に乏しいガクチカになってしまいます。ガクチカに学業のことを書くときは、細かい範囲に限定して考えていくべきです。留学や実地研修などの専門性の高い内容でも、講義や定期試験などの一般的な大学生としての経験でも、どちらも問題ありません。

また、このとき選ぶ題材は1つに絞ります。同じ学業であっても、留学の経験と定期試験での頑張りを同列に語ることはできません。頑張り方が異なるのであれば、当然得られた能力や企業での活かし方も異なります。採用ページや企業理念などから企業が就活生に対して、何を求めているのかを読みとり、それをアピールできる題材を選択しましょう。

他者との差別化を意識しておく

学業はガクチカの題材として、身近にある書きやすい題材といえるでしょう。しかし、それは他の就活生も同じです。そのため、学業をガクチカに書く時には、他の就活生との差別化を図る必要があります。

同じ内容を学んだとしても、それまでの取り組みや、そこから得たものは人によって異なります。そういった自分独自の内容を盛り込むことで、採用担当の目に留まるガクチカを作ることができるでしょう。

学業はガクチカにうってつけのエピソードになる

学業は多くの人が共通した経験を持つエピソードですが、工夫次第で十分に独自性の高いガクチカにすることができます。

そのためには、仕事で求められていることを理解したり、内容に具体性や説得力を持たせることが必要です。ポイントを押さえて書くことで、同じ内容でも他の就活生と差別化できる内容に仕上げることができるでしょう。

学業のガクチカは単に成績のアピールで終わらないように、こちらの記事で解説したポイントを踏まえて作成してみましょう。

ガクチカ

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