IT業界を突破する志望動機の書き方|新卒や未経験向けの例文付き
ESを仕上げる就活生に向け、IT業界の高い競争率を突破する志望動機の書き方を説明します。
市場の拡大が続くIT業界は、自身の成長を実感しながら働ける魅力があります。その反面、継続的な学びを要求され、心から情熱を傾けられる人でないと挫折する恐れもあります。中途半端な意志では務まらないため、志望動機には「明確な目標」を書くことを強く求められます。
目標設定には業界研究が欠かせません。この記事ではIT業界の全体像から、目標を導く方法、志望動機の書き方を解説します。文系や未経験者でも、ビジョンを明確に打ち出した志望動機を書けるようになるでしょう。業種別・職種別の例文も参考にしてください。
目次
IT業界の志望動機を書く前に業界を理解しよう!
IT業界は学生から高い人気を誇ります。マイナビが実施した「2025年卒大学生就職意識調査」によれば、「ソフトウェア・情報処理・ネット関連」は「学生が現時点で志望する職種」の第2位につけています。理系はもちろん、文系でも志望者が比較的多いのが特徴です。インターンシップの参加割合も高く、学生が積極的に就職を検討する様子が伺えます。
人気の背景には高い成長率が挙げられます。近年はDXの推進やリモートワークの普及により、年々業界へのニーズが高まっています。堅調な伸び率が期待できるため、学生が安心してキャリアパスを描けるのです。AIやVRなど技術革新が進めば、ニーズはますます高まるでしょう。
しかし成長率や技術革新を志望動機に据えても、良い結果は得られません。企業が知りたいのは、あなたのビジョンです。業界研究・企業研究をしっかりと行い、自身のビジョンを明確に定めることが、志望動機をつくる第一歩だと考えましょう。
(参照:2025年卒大学生就職意識調査 | 株式会社マイナビ)
(参照:2025年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査|株式会社マイナビ)
IT業界は5つの業種に細分化できる
プログラムを開発する「ソフトウェア業」
パソコンやスマートフォンを動かすOSや、ユーザーが操作するアプリ(ソフト)をソフトウェアと呼びます。ソフトウェアを開発するのがソフトウェア業です。
ソフトウェア業は大きく2つに分けられます。パッケージソフトを開発する企業と、受託開発を行う企業です。私達が日常的に使用するのがパッケージソフト、取引先のニーズに応じて開発されるのが受託開発ソフトです。受託開発には、あらゆるニーズに臨機応変に対応する技術力が求められます。
社内ではソフトウェアエンジニアやプログラマー、セキュリティエンジニアなどが活躍しています。人手不足が深刻化していることから、大学で専門知識を習得した人でなくても、努力次第で挑戦できるフィールドがあります。
NEC、IBM、ジャストシステム、トレンドマイクロ、日本オラクル、富士通、ソースネクスト
機械や装置を製造する「ハードウェア業」
ソフトウェアに対して、パソコンやスマートフォンなどの物理的な筐体をハードウェアと呼びます。ハードウェアを開発するのがハードウェア業です。
ハードウェアはキーボード・マウスなどの入力装置、HDD・SSDなどの記憶装置、CPU・GPUなどの制御・演算装置、モニター・プリンターなどの出力装置に分けられます。各種装置とソフトウェアが組み合わさり、一つの製品が出来上がるイメージです。近年は物とインターネットを繋ぐIoT技術の開発が進み、家電や建物などさまざまな物がハードウェアの役割を担うようになりました。事業領域も拡大し、エンジニアには広範な知識と技術が要求されます。
社内ではハードウェアエンジニア、組み込みエンジニアなどが活躍しています。高い技術力だけでなく、変化に対応できる柔軟性や新たな知識を習得する姿勢が求められます。
日立製作所、SONY、パナソニック、三菱電機、富士通、キャノン、NEC
堅牢なシステムを構築する「情報処理サービス業」
企業が扱うデータは膨大です。クライアント企業に適した情報システムを開発・運用することでビッグデータを安全に管理し、堅牢なセキュリティシステムを提供するのが情報処理サービス業の役割です。事業内容は「システムを取りまとめる」という意味で「System Integrator(SI)」と呼ばれ、サービス提供企業は「SIer(エスアイヤー:SIを提供する者)」と称されます。
SIerの事業形態は3つに分かれます。ハードウェアメーカーから分離して設立された「メーカー系」、企業の情報システム部門が独立した「ユーザー系」、元になる会社を持たない「独立系」です。多くのSIerは独立系で、クライアント企業に合わせた独自のサービスを提供しています。
社内ではネットワークエンジニアやサーバーエンジニア、セキュリティエンジニアが協力して業務を推進しています。ITコンサルタントやDXコンサルタントも多数在籍しているため、クライアント企業のコンサルティグも得意です。
国ぐるみのDX推進やセキュリティ意識の高まりにより、SIerの社会的責務は年々大きくなっています。強い使命感と責任感を持ち業務にあたる人材が求められます。
NTTデータ、富士通、NEC、野村総合研究所、大塚商会、TIS、Sky
通信サービスを整備する「通信インフラ業」
インターネットやWi-Fiなど、通信環境を整備し提供するのが通信インフラ業です。通信基盤の設計から機器の導入、ネットワークの構築までを一手に担い社会を支えます。通信環境を維持する責務を負うため、障害発生時には早急な対応を迫られます。大変なことが多い分、自身の力で社会を支える喜びを得られるのが特徴です。
社内ではネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニアなどが活躍しています。業務の特性上、仕事を全うする強い責任感と、トラブルに臨機応変に対応できる技術力が必要です。
今後はネットワーク上でソフトを使用する「SaaS(サース)」や6Gへの対応など、業務領域が広がることが予想されます。エンジニアは新たな知識を貪欲に吸収し、変化に柔軟に対応する必要があります。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、ビッグローブ、朝日ネット、フリービット、GMOインターネット
サービスを提供する「インターネット・Web業」
Webサイトの制作や運営、ECサイト構築、検索エンジンの開発などを行うのがインターネット・Web業です。私達が日々利用するSNSやオンラインショッピングサイトなどの個人向けサービスはもちろん、企業のブランディングやSEO対策、広告制作・運用など幅広い業務を担います。
社内ではWebデザイナーやWebコーダー、Webエンジニアなどが協力し合って仕事を進めています。文章制作やマーケティングを専門に行う職種もあり、文系から就職しやすいのも特徴です。人材不足が進んでおり、未経験者でも積極的に採用される傾向があります。技術を貪欲に吸収し、変化に対応していける人材が求められます。
リクルートホールディングス、楽天グループ、LINEヤフー、Amazonジャパン、Google、サイバーエージェント、DeNA
新卒未経験で就ける職種もある!IT業界の代表職種
業種に応じて種類が多い「システムエンジニア」
システムエンジニア(SE)は顧客から要望を聞き出し、システム要件を明確にして開発を指示する職業です。実装する機能を具体化しながら大枠の仕様を決め、徐々に詳細な設定に煮詰めていきます。設計書をプログラマーに回すことで、実際にシステムが構築されます。
SEはソフトウェアエンジニア、ハードウェアエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニア、Webエンジニアなど、事業領域ごとに細分化されます。異なる分野のSEが専門性を発揮し合い、一つの商品(サービス)を作り上げていきます。
入社後はプログラマーとして経験を積み、十分な技術力をつけてSEにキャリアアップするのが通例です。(大学でプログラミングを習得していれば、SEとして就職できる可能性もあります)SEで実績を残せば、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーに昇進する道が開けます。
就職ではプログラミングなどの開発スキルやコミュニケーション能力、課題発見力、論理的思考力が求められます。常に新しい知識を吸収する姿勢も必要です。
努力次第で幅広い業務ができる「プログラマー」
SEが作った設計書をもとに実際にプログラムを組むのがプログラマーです。所属する会社や顧客のニーズにより、手掛ける領域が大きく異なります。複数のプログラム言語を習得しておけば、業務領域を広げられるでしょう。
日々の業務は地道な努力の連続です。納期に追われ、厳しさを感じることもあるかもしれません。しかし自身の努力でシステムを動かせる喜びは何物にも代えがたく、技術者としてのやりがいを強く感じられます。明確な目標を持ちスキルを高めていける人ならば、成果を積み重ねていけるでしょう。実績を残せば、SEへステップアップする道も開けます。
なおプログラマーは技術職ではあるものの、未経験者にも門戸が開かれています。ニーズの増加に人材が追いつかないためです。自分でできる限りの技術を身につけ、アピール材料をつくりましょう。
企業イメージを形にする「Webデザイナー」
顧客からのヒアリングに基づき、ブランディングや購買に最適なデザインを作成・提案するのがWebデザイナーです。コーポレートサイトは企業イメージをビジュアルで表現する役割を担います。センスや独創性だけではなく「ヒアリングした内容を形にする力」が必要です。
業務では顧客のニーズを正確に掴み取る傾聴力、情報をデザインへ繋げる発想力などが求められます。業務の幅を広げるには、コーディングやWebマーケティングの知識も習得すると良いでしょう。ユーザーにとってより使いやすく、効果が実感できるサイトを構築できます。
なおコードを書くWebコーダーが別にいる企業では、Webデザイナーの業務領域はデザイン作業のみです。未経験者や文系出身者でも比較的取り組みやすく、努力次第で活躍のチャンスが広がります。
サイトの戦略を練る「Webマーケター」
インターネット上でユーザーの行動分析や市場調査を行い、「売れる」または「ブランディングに成功する」戦略を策定・実行するのがWebマーケターの役割です。サイトのアクセス数をアップさせるSEO対策や、Web広告の出稿、SNS運用などを行います。Webサイトはつくって終わりではありません。コンバージョンを上げてこそ意味があります。Webデザイナーやエンジニアの技術を活かすためにも、Webマーケターの存在は欠かせません。
業務では高度な分析力や、課題を解決に導く論理的思考力が求められます。Googleサーチコンソールやアナリティクスを使用するため、自身でサイトを運営した経験があれば大きな武器になります。未経験者は書籍や動画などで最低限の知識をつけると良いでしょう。
顧客のIT課題を解決する「営業」
営業職は、顧客のニーズが高い業界ほどやりがいを感じられます。国を挙げてのDX推進やリモートワークの普及により、IT業界のニーズは高まるばかりです。「ITで顧客の課題を解決する」「社会をより便利にする」といったビジョンを掲げながら、誇りを持って仕事ができるでしょう。
業務にはITへの知識や興味が強く求められます。人に説明できるだけの専門性がなければ、日々の仕事が務まらないからです。継続的な勉強が必要になることを覚悟しなければなりません。
一般業務に加えIT関連のサポートもする「事務」
IT業界の事務職は、通常事務に加え自社商品(サービス)のサポートも求められます。具体的には問い合わせ電話への応対や、製品マニュアルの作成、IT機器のインストール・初期設定などです。一般の事務とは毛色が異なるため、「IT事務」と区別して呼ばれることもあります。
IT事務には多様な能力が必要です。自社商品(サービス)に関わる深い知識が必要な点では、エンジニアに通じるものがあります。製品マニュアルを作成する際には、論理的な構成力や文章力など文系的な力も求められるでしょう。文系・理系でどちらが有利とも言えないのが特徴です。自社の業務領域に関して誰よりも詳しくなる気概と、勉強を続ける姿勢をもって仕事に臨みましょう。
変化が速い業界だからこそ力を発揮する「人事」
IT業界は需要の高まりに対し、人手が圧倒的に足りない状態です。人材確保・育成に関わる人事の役割は他の業界以上に大きいと言えます。特に人材育成システムの構築は急務です。社内に知識や技術を習得できる仕組みがあれば、未経験者をポテンシャル採用しても実務レベルに育てられます。
通常、人事に求められるのは高いコミュニケーション能力や管理能力です。IT業界では、それに加えて業界の未来を予測する能力や、自社の課題を適切に見抜く観察眼が必要です。変化の速い業界だからこそ、経営者的な目線で長期人事戦略を練れる人材が求められます。
IT業界を目指すなら必須になる能力
スキルを日々上げる高い「学習意欲」
IT技術の進歩は目覚ましく、今年の常識は来年には通用しません。常に新しいことを取り入れ勉強する姿勢がなければ、変化に対応できないでしょう。「今ある技術で安泰」と考えるエンジニアや、「将来の成長」だけを求めて就職する人には不向きです。常に自身のスキルを上げ、高い学習意欲を持ち業務に取り組む必要があります。
変化や要望に柔軟に対応できる「対応力」
IT業界では臨機応変な対応力が求められます。システムにバグがあった場合はもちろん、顧客からの要望にも真摯に対応しなければなりません。技術の進化に伴い、仕様を変更した方がよりユーザーライクになるケースもあります。一つの技術に凝り固まるのではなく、多角的に判断し対応する力が求められます。
状況を分析する「課題発見力」
想定外の事態が起こったとき、エンジニアは冷静に状況を分析し解決に努めなければなりません。特に客先からのクレームがあれば、迅速な対応が必要です。緻密な現状分析で課題を発見し、対策を講じる力が求められます。
課題発見力は営業やIT事務にも必須です。顧客からの意見を最初に聞き出すのは営業や事務職です。的確に課題を突き止め、エンジニアに伝える役割を担います。
知識と論理的思考力を元にした「課題解決能力」
発見した課題は解決に導かなければなりません。課題の解決には、知識と経験、論理的思考力が必須です。
自社製品(サービス)に関する知識が多いほど多角的に原因を考察でき、複数の策で問題解決にあたれます。さらに問題解決の経験があれば、過去の事象と照らし合わせて考えることもできるでしょう。知識と経験をバックグラウンドに持つことで、初めて論理的に解決の筋道を立てることができ、論理的思考力を活かせるのです。
就職する分野の知識をできるだけ多く身につけ、論理的思考力を鍛えておくことが大切です。
チームワークに必須の「コミュニケーション能力」
IT業界では商品(サービス)開発に向け、臨機応変にチームを組んで動きます。そのため、チーム内でのやりとりを円滑にするためのコミュニケーション能力は必須です。円滑なコミュニケーションには、チーム全体が同じ目的を共有すること、互いの専門性を尊重し合い働くことが大切です。
新入社員はプロジェクトを成し遂げる強い意志を持つことや、各分野のエンジニアを尊重し学ぶ姿勢を心がけます。あなた自身が成長することで、徐々に先輩社員と同じ専門性を持ち、対等に話せるようになるでしょう。
IT業界の志望動機が思いつかない?目標を引き出す方法
IT業界のニーズと自身の力を照らし合わせる
明確な志望動機が思い浮かばないときには、業界研究を徹底します。業界の現状と展望を知ることで、「今どのような人材が求められているか」「この先必要な技術は何か」が分かるでしょう。業界のニーズと自身の力を照らし合わせ、目標を引き出します。プログラミングなどの技術力でなくても、「課題発見力」「柔軟な対応力」などIT業界の人材に求められる力があれば十分です。
例えばIT業界で求められる人物像を「企業のDX化を加速させられる人材」だと読み取ったら、「プレゼンテーション能力」「傾聴力」などを軸に営業やIT事務の仕事ができるかもしれません。自分にでき得る仕事が分かったら、職種への学びを深めましょう。徐々に目指すべき将来像を絞り込めます。
アルバイトの経験からテーマを導く
アルバイト先での体験を就労意欲に結びつける手法もあります。「成功体験をさらに深める」か「課題解消を目指す」か、どちらかのスタンスに立つのがおすすめです。
例えば店のブログ更新を任され、SEOの知識をつけながら集客に成功してきた自負があるなら、知識を深め Webマーケターとして社会貢献の道を目指す流れが自然です。成功体験はビジネスモデルに応用しやすく、入社して知識を深めれば、より大きな商業的成功に結びつけられます。
ポジティブな内容が書けない人は、業務で感じた課題を取り上げます。例えばIT技術導入の効果が見込まれるにもかかわらず、導入コストの問題で見送っている現状を取り上げれば、業界への問題提議になります。課題解決のために何が必要か考えることで、あなたがIT業界で目指すビジョンが見えてくるでしょう。
安価なシステムを開発するSE、業界特化型のシステムを提案する営業職など、自身に出来得る範囲内で目標を見定めます。
制作ノウハウを学び魅力を見つける
プログラミングやWebサイトの構築を独学で始める手もあります。学んだものが少しずつ形になる快感は、ものづくりの醍醐味です。「とりあえずやってみる」ことで、魅力に引き込まれ、気づけば虜になることも少なくありません。就職して「つくりたいもの」「実現したいこと」も自然と見えてくるでしょう。
現在はプログラミング・Web制作ともに良質なハウツー本が数多く出版されています。評判の良い本を入手し、お手本のとおりに作ることから始めましょう。原理を理解しながら進めれば、応用が効くようになります。じっくり取り組むうちに、最低限のレベルが身につくでしょう。もちろん、時間やお金に余裕があればスクールでプロに習うのも良い方法です。
基礎の習得過程で気づいた魅力を軸に、IT業界でのビジョンを見定めていきます。学びが深まるほどに、ビジョンが具体化します。
新卒未経験でIT業界の志望動機を書く際のポイント
業界の現状を理解し将来のビジョンを明確に持つ
IT業界の業務は多岐にわたります。「IT業界で何をしたいか」というビジョンを明確に持つことが大切です。専門性の高い仕事が多いため、知識とスキルの習得には努力が欠かせません。ビジョンが不明瞭なままだと、困難を克服できず、途中で挫折する恐れがあります。
ビジョンを見定めるには、業界研究をじっくりと行います。業界の現状と展望を理解し、これからのIT業界であなたにできることを考えましょう。
企業の強みとあなたのビジョンを照らし合わせる
ビジョンを見定めたら、企業研究をしっかりと行います。実現に最適な企業を選び出しましょう。同じ業種に属する企業でも、それぞれ強みに据える領域が異なります。「ビジョンの実現には、この会社が最適」と思える企業が見つかるまで、研究を続けましょうす。あなたのビジョンと企業の強みがうまく結びつけば、志望動機に強い説得力が生まれます。
自己の強みを入れ企業に貢献できる根拠を示す
あなたが会社に貢献できる根拠も必要です。根拠がなければ、目標を掲げても実現の可能性を疑われます。仕事に繋がる強みを示しましょう。
プログラミングやWeb制作などを大学で専攻し高い専門性を有する人は、その専門性こそ強みになります。できることを具体的に示し、可能であればポートフォリオを用意しましょう。
未経験の場合は、これまでの学校生活、アルバイトなどで培った力が、社会でも活きることを説明します。IT業界に必要とされる「課題発見力」「課題解決能力」「臨機応変な対応力」などを挙げると、仕事に結びつけやすいでしょう。
IT業界の急速な変化にも対応する学習意欲を示す
IT業界は日進月歩です。入社後は常に知識をアップデートすることを求められます。学習を続け、最先端の技術を身につける意志を強く示しましょう。
企業は新卒の多くをポテンシャルで採用します。学びを続ける中で技術を身につけ、業界を引っ張る人材になることを期待しているのです。学習意欲が低いと、将来有用な人材になる可能性を感じられません。
経験から得た学びを入社後の仕事に繋げる
志望動機に説得力を出すために、アルバイトや部活動などで経験したエピソードを記述します。エピソードは単なる自慢話で終わらないよう注意しましょう。経験を通して得られた学びを挙げ、それが仕事に繋がることを記述します。企業はそこから仕事への姿勢や適性を読み取ります。
新卒未経験でIT業界の志望動機を書く5STEP
①IT業界で成し遂げたいビジョンを明確にする
②具体的なエピソードを示し、IT業界を目指す理由と具体的なエピソードを示す
③選考を受ける企業に絞った理由を書く
④入社後に当該企業で活躍できると考える根拠を挙げる
⑤今後の学習意欲と入社後の決意で締める
IT業界の志望動機は、①〜⑤の流れで書くと説得力があります。論理的思考力が強く求められる業界だけに、志望動機も論理的に構成する必要があります。この順番なら理屈が通りやすく、伝えたい内容も明確です。ESにぴったりの350〜400字程度で仕上げられるでしょう。
①IT業界で成し遂げたいビジョン
志望動機で最も伝えなければならないのは、IT業界で成し遂げたい目標です。「何をしたいのか」はっきりしない人は、自分の中に軸を持てません。ビジョンを掲げ、強い意志で仕事に取り組む心意気をはっきりと示しましょう。
②IT業界を目指す理由と具体的なエピソード
IT業界を目指すきっかけを、具体的なエピソードと共に紹介します。学生生活での成功体験やアルバイトでの課題発見、幼い頃に感じたものづくりへの情熱など、内容は問いません。
大切なのは、記述の内容がIT業界での仕事に繋がることです。「他の業界でも実現できるのでは?」と疑問を持たれると、選考に通りません。例えば「技術で人の役に立ちたい」といったエピソードでは、IT業界に絞る理由が明確に示せません。そのため、「〇〇の技術で人の役に立ちたい」と具体化させ、業界を絞る内容にする必要があります。
③選考を受ける企業に絞った理由
選考を受ける企業に絞った理由を明確にします。ホームページやパンフレットを参照することはもちろん、会社説明会にも積極的に参加し、強みを的確に理解しましょう。会社の強みとあなたのビジョンが結びつけば、当該企業に絞る理由ができます。「競合する他の会社でも良いのでは?」と思われないよう、注意しながら記述します。
④入社後に活躍できる根拠
理由からすぐに今後の決意へ繋げると、会社に貢献する根拠に乏しく感じられます。例えば「一流のエンジニアを目指して頑張ります」と書いても、「何を根拠にそう考えているのか」が不明瞭になってしまいます。そのため、仕事に繋がる強みを掘り起こし、会社で活躍できる根拠を示しましょう。
内容はプログラミングやWebデザインなどの保有スキルでも、「論理的思考力」「課題発見力」などの抽象的な力でも構いません。「この強みがある人なら会社に貢献できるだろう」と思ってもらえるよう記述します。
⑤今後の学習意欲と入社後の決意
最後に入社後の決意を示します。ビジョンの達成に向け、社内でどのように仕事をしていくか、熱意をはっきりと示しましょう。「今後も勉強を怠らない」「〜の知識を広げていきたい」など、学習意欲を同時に示すと効果的です。貪欲に学びを深められる人材だと分かれば、企業も採用しやすいでしょう。
【業種別例文】未経験でIT業界を目指す志望動機①
ソフトウェア業
クラウドで一括展開する自治体向けソフトウェアを開発したいと考え、貴社を志望しました。
自治体DXが思うように進まない理由の一つに、導入コストの高さが挙げられます。兄が勤務する町役場でも、DXを導入できずに業務過多の状態が続いています。解決策として考えたのが、必要なソフトをクラウド上で一括展開する手法です。クラウド版はインストール版と比べコストが下げられます。汎用性のある商品を開発できつくれれば、受託開発に高い費用をかける必要もなくなります。私はエンジニアとして、このソフトの実現に努めたいです。
貴社は教育機関にクラウドパックを展開した実績があります。実績豊富な貴社でなら、自治体向けの開発も目指せると考えます。
私は中学生の頃から趣味でプログラミングを続けており、 C++の基礎が身についています。入社後はプログラマーとして開発のノウハウをしっかりと学び、ソフトウェアエンジニアを目指して努力します。(400字以内)
プログラミングを長く続けてきた立場で、総務省が進める自治体DXに対して問題提議しています。課題を発見し解決策を考える姿勢は、入社後の業務でも強く求められます。エンジニアとしての姿勢に高い評価を得られるでしょう。挫折しやすいC++を自己アピールに取り上げたのも評価ポイントです。
ハードウェア業
視力が落ちた高齢者にも見やすいディスプレイを開発したいと考え、貴社を志望しました。
現在はスマホの普及により、多くの高齢者が電子機器に触れています。しかしパソコンは使い勝手が良いと言えないのが現状です。70代の祖父も「見えにくい」と自宅のパソコンを毛嫌いしています。高齢者でも見やすいディスプレイの条件は、ピンチアウトが自由にできること、人間工学に基づく照度、形状だと考えます。私はこれらを満たすディスプレイを開発したいと考えるようになりました。
貴社は人間工学に基づくキーボードやマウスの開発で知られています。貴社でなら、ディスプレイの研究を深め、夢を実現できるのではないかと考えます。
私は大学で電子工学を専攻しており、電子基板の仕組みを理解しています。入社後は知識を実務レベルに引き上げられるよう勉強を重ねていきたいです。社会に役立つ製品を作れる一流のハードウェアエンジニアを目指して努力します。(400字以内)
実生活から成し遂げたい夢を見つけたパターンです。高齢者の実際の声を引用することで、話に切実さが生まれます。開発で克服するべき条件を自身で考えられるところが、電子工学を専攻する学生らしく好印象です。
仕事に繋がる学びを大学で続けている人は、それを伸ばす方向で書くと自然な決意になります。入社後に努力する方向性も明確で、高い評価を得られるでしょう。
情報処理サービス業
私はクラウドサービスのセキュリティ技術を顧客に分かりやすく説明するセールスエンジニアになりたいと考え、貴社を志望しました。
ユーザーとしてクラウドを利用し実感するのは、「自分がどこまで管理しているか分からない」不安感です。中身がブラックボックス化しており、ユーザー自身で安全性の判断ができません。実際、3割近くの人が情報漏洩やセキュリティリスクを感じているとのデータもあります。エンジニアは、セキュリティについてより分かりやすく顧客に説明する必要があると考えます。私自身が説明する立場になり、クライアント企業に技術を分かりやすく正確に伝えたいと考えるようになりました。
私はアルバイトで数多くの新規企画に携わりました。プレゼンテーション能力には自信があります。入社後は技術的な知識をしっかりと身につけ、一刻も早く客先へ出向けるよう努力します。(400字以内)
SIerが提供するサービスにユーザーの立場で問題を提起し、自ら解決する意志を示しています。データを調べ客観的に証拠を示す書き方は、顧客にプレゼンする未来の姿を想像させ、高評価を得られるでしょう。
今回の志望動機では「プレゼンテーション能力」を会社に貢献できる根拠に挙げています。文系からIT業界に挑戦する場合、技術的なアピールができる人は多くありません。このように実際の業務に結びつく力を記述すると、説得力のある志望動機になります。
通信インフラ業
通信インフラを整備することで「日本のどこにいても働ける環境」をつくりたいと考え、貴社を志望しました。
私の実家は東北の山村です。介護を理由に父が実家に戻ったとき、地元に働き口はほとんどありませんでした。このような状況が地方衰退を招いてきたのだと感じます。現在リモートワークが普及しているのは良い流れです。エンジニアとして通信インフラを日本中に整備し、この流れを加速させることが私の夢になりました。どこにいても仕事ができ、家族や故郷を大切にできる社会をつくりたいです。
貴社は高速回線を日本の隅々にまで整備する理念を掲げています。理念に深く共感し、私も貴社の一員として働きたいと強く願っています。
ネットワークエンジニアには一からの挑戦です。現在はプログラミングの勉強を進めています。ディベートで鍛えた論理的思考力や推論する力も活かし、少しでも早く会社に貢献できるよう努力を重ねていきたいです。(400字以内)
理念への共感を理由に企業を絞り込んだパターンです。それ自体はありきたりな内容に終止するものの、きっかけ部分の経験に説得力があり、強い想いで入社を希望していることが伝わります。未経験を克服するための努力や、自身の強みを端的に説明しているのも評価ポイントです。
インターネット・Web業
商品の魅力を端的に伝えるWebデザインを手掛けたいと考え、貴社を志望しました。
私はこれまでサークルや趣味のWebサイトを独学で制作してきました。さまざまなサイトを見てデザインを研究するうちに、「良いデザインとは何か」を真剣に考えるようになりました。特に消費意欲の向上に繋げるランディングページは、趣向が凝らされています。デザイナーとして、私もランディングページを手掛けたいと考えるようになりました。
私が目指すのはすっきりしていながらも、写真やキャッチコピーに説得力のあるデザインです。貴社の制作物は季節感を大切にした美しいデザインと、心に残るキャッチコピーが魅力です。表現手法に強く惹かれ、貴社で仕事がしたいと考えるようになりました。
これまでの制作経験から、デザイン案を提示することには自信があります。入社後はコーディングの知識を貪欲に習得すると共に、社会に受け入れられるデザインを追求していきます。(400字以内)
選考を受ける企業が手掛ける作品に惹かれ、入社を強く希望する文章です。このパターンでは、当該企業に絞る理由が明確で、志望動機にブレがありません。
注意したいのは魅力の取り上げ方です。企業が別の魅力を発信することに注力している場合、「過去の魅力」「一部の魅力」だけを切り取ると不快感を与える恐れがあります。企業研究をしっかりと行い、企業が注力するポイントを確かめておきましょう。
【職種別例文】未経験でIT業界を目指す志望動機②
システムエンジニア
業界や業種を限定した特化型のソフトウェア開発に携わりたいと考え、貴社を志望しました。
私の父は小さな町工場を経営しています。会社にあるのはパッケージソフトばかりで、事業の特異性をカバーするものではありません。受託開発のソフトはコストがかかり、簡単に導入できるものではないそうです。状況改善のため、私は業種を限定した「業種特化型」のパッケージソフトを開発したいと考えるようになりました。
貴社は小売・卸業向けのソフトウェア開発で有名です。貴社でなら一つの分野に特化した開発が可能です。私の夢も実現できるのではないかと考えました。小売・卸業界をしっかりと見つめることから始め、業界・業種を広げていきたいです。
私は大学で情報工学を学んだことで、プログラミングには自信があります。プログラマーとして実務経験を積み、ゆくゆくはSEを目指します。また業界研究を怠らず、顧客ニーズを的確に判断できるよう努力したいです。(400字以内)
SEは業務領域が広いため、「どの業種で」「何をしたいのか」を明確にする必要があります。この文章では家族の経験からヒントを得て、開発したいものを特定しています。明確なビジョンを持つことで、選考を受ける企業に絞る理由にも納得できます。
ただし、SEの職に新卒で就くことは稀です。まずはプログラマーとして就職し、ゆくゆくはSEを目指す姿勢を示すと良いでしょう。
プログラマー
Webサイトやアプリケーションを制御するWebプログラマーを目指すため、貴社を志望しました。
私はアルバイト先でWebサイトの管理を行っています。ブログや写真の更新から始め、現在は簡単なコーディングも手掛けるようになりました。管理を続けるうちに、サイトを思いどおりに動かすにはプログラミングの知識が不可欠なことに気づかされました。必要に迫られJavaを勉強していくうち、楽しさに魅せられプロを志すようになりました。
貴社はデザインに頼るだけでなく、ユーザーに便利な機能を実装したサイトづくりに定評があります。特にECサイトの使いやすさは群を抜いています。貴社に入社し、プログラミングの腕を高めたいと考えるようになりました。
入社までにJavaの知識を深め、できるだけ早く活躍できるよう努力します。他言語も貪欲に習得し、どのような要求にも応えられるプログラマーを目指したいです(400字以内)
プログラミングは地道で細かな作業です。ときには忍耐力が必要になることもあるでしょう。未経験からプログラマーを目指す場合、「楽しさへの気付き」を全面に出すと良い評価を得られます。挫折しやすいプログラミングだからこそ、仕事を楽しめる人材は貴重です。
Webデザイナー
企業の魅力を形にし、ブランディングに寄与できるWebデザイナーを目指すため貴社を志望しました。
現在はどのような企業でもWebサイトを持ち、情報を発信しています。サイトを持つのが当たり前だからこそ、SEO対策やSNSでの情報発信の強さにばかり注目が集まります。私は大学で四年間グラフィックデザインを専攻してきました。デザインは人を喜ばせることも、感動させることもできると知っています。だからこそ、Webでデザインで力を試したいと考えるようになりました。
貴社は「Webデザインによるブランディング」が得意です。デザインの力で企業イメージを形成する考え方に深く共感し、入社を強く希望するようになりました。自身のデザイン力を高め、貴社の力になりたいです。
イメージを形に変える感性、表現力には自信があります。今後はhtmlやcssの知識を学び、さまざまな企業を支えるWebデザイナーを目指します。(400字以内)
デザイン系の学部からWebデザイナーを目指す想定です。デザインに関わってきた人だからこそ感じる強い想いは、採用担当者に伝わります。デザイナーとしての軸が感じられ、しっかりしている印象を与えられます。
仕事への素養がある人は、学びの姿勢を忘れずに入れることが重要です。新卒は社会での実績がないため、「現在の力で勝負したい」という書き方は通用しません。学びを継続することで技術を高め、会社に貢献する意志を示しましょう。
Webマーケター
コーポレートサイトの効果を最大限に引き出し、地域を支えるWebマーケターを目指したいと考え貴社を志望しました。
私はボランティア活動で地域創生に関わってきました。その中で印象的だったのが特産物を売り出す手法です。他地域の類似品を分析しターゲット層を確定、アピールポイントを明確にしてWebページに掲載する手順を見て衝撃を受けました。この体験からWebマーケティングに興味を持ち、仕事にしたいと考えるようになりました。
貴社はサイト制作からSEO対策まで一貫して請け負っています。地域創生分野にも深く携わり、観光振興に大きな影響を与えています。貴社でなら、Webマーケターとして地域を支える存在になれると確信しています。
これまでの経験から、丁寧なヒアリングと課題発見力には自信があります。情報分析の手法やSEO対策のノウハウなどをしっかりと学び、貴社の一員として活躍できるよう努力します。(400字以内)
マーケティングの必要性を実感した体験を、Webマーケターを目指す強い意志に繋げています。マーケティングは学生にとって馴染みが薄い分野です。だからこそ、アルバイトやボランティアで感じた経験は貴重です。実体験を書けるなら、積極的に取り上げましょう。
営業
教育機関へのIT機器導入を支援するため、貴社営業職を志望しました。
私は通信制高校の卒業生です。私が所属した高校では完全オンラインで授業を実施し、年に数度のスクーリング以外では学校に通う必要がありません。IT技術のお陰で、誰でも平等に教育を受けられることを実感しました。大人になった今、オンライン授業のシステムは地方と都市部の教育格差是正に一役買うのではないかと感じます。営業職としてIT技術導入を提案し、日本中に平等な教育環境を行き渡らせたいと考えるようになりました。
貴社は教育業界へのITコンサルタント業務から、ITシステムの導入までを一貫して行っています。貴社でなら私の夢が叶えられると考えます。
大学時代に福祉施設でアルバイトをしたことで、人に寄り添うコミュニケーションには自信があります。入社後はITに関する知識を全力で学び、技術を誰にでも丁寧に説明できる営業職を目指します。(400字以内)
自身の経験からIT技術の必要性を実感し、仕事での目標に繋げた文章です。強い想いのお陰で、仕事への熱意や営業職としてのビジョンが明確に伝わります。企業も採用しやすいでしょう。
注意したいのは短期目標の欠落です。長期的な目標に終止すると、目前の取り組みが見えにくくなる恐れがあります。入社後の決意を示す場面で、日々の努力をできるだけ具体的に伝えましょう。
事務(IT事務)
貴社製品の技術的サポートを行う事務職になりたいと考え志望しました。
私は現在家庭教師のアルバイトに従事しています。分からない原因を突き止め適切な解決策を提示することが、成績アップに繋がります。人に寄り添いアドバイスすることに大きな喜びを感じるようになりました。IT事務を志すようになったのも、顧客に寄り添い適切な解決策を伝える喜びを味わえるからです。今までの経験を活かし、社会に貢献したいと考えています。
IT事務になるには、製品への深い知識と技術的な理解が必須です。貴社は経理ソフトのパイオニアです。経理は私が大学で学んだ分野で、強い興味と関心があります。貴社でなら専門性を身につけ、IT事務として大成できると考えます。
私はこれまでの経験から傾聴力と課題解決能力に自信があります。入社後は実務で能力を発揮できるよう努力したいです。同時にソフトに対する知識習得に全力で取り組みます。(400字以内)
IT事務の志望動機を書くポイントはITにこだわる理由を明確にすることです。ここではアルバイトの経験を持ち出し、「人に解決策を伝える喜び」を挙げています。理由が曖昧だと「一般事務でも良いのでは?」と思われ、IT業界に絞る説得力がなくなります。
さらに難しいのが選考を受ける企業を選ぶ理由です。最も簡単なのは、当該企業の製品(サービス)を実際に利用し、その魅力を書くことでしょう。「好きな商品をサポートしたい」という方向に話を持っていけば、採用担当者を納得させられる志望動機をつくれます。
人事
人事として人材育成システム構築に参画することで、日本のIT業界を支える力になりたいと考え貴社を志望しました。
企業の経営を左右するのは「人、モノ、お金」の活用だと言われます。中でも人的資源をいかに活かすかは円滑な企業活動を継続するポイントです。私は経営的視点から人材育成に携わりたいと考えています。IT業界は深刻な人材不足に直面しており、人材育成システムの構築が急務です。数ある業界の中でも最も仕事にやりがいを感じられると考えました。
貴社はさまざまな人材育成ツールを開発・導入しています。旧来の人事のあり方とは一線を画す点に強く惹かれました。貴社でなら変化に対応する人事戦略をつくれると考え、入社を強く希望するようになりました。
私は大学での学びから、人材マネジメント理論を習得しています。入社後は理論を実践に移せるよう努力します。またIT業界を俯瞰する目を持てるよう、現状分析を続けていきたいです。(400字以内)
ITの専門性とは最も遠い場所にいるのが人事職です。書き方によっては業界を絞る理由が曖昧になります。この文章のようにIT業界ならではの特徴を挙げると、業界を絞る明確な理由を示しやすくなります。
記述の際には「ITに全く興味がない」という印象を与えないよう注意しましょう。興味がない業界では仕事を続けられません。ITツールや業界の動向に言及することで興味を表現でき、自然な志望動機をつくれます。
IT業界の志望動機で避けるべき内容
成し遂げたい仕事に対する具体性がない
IT業界は5つの業種に細分化され、さらに企業ごとに得意とする領域が異なります。それぞれが高い専門性を持つプロ集団であるため、やりたいことが明確で、ビジョン達成に向け一途に努力できる人でなければ、仕事が務まりません。具体性が感じられない志望動機では、まともに取り合ってもらえないでしょう。
給与や待遇を前面に出す
平成29年に経済産業省がまとめた「IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果」によれば、IT関連産業における新人・初級者レベルの平均年収は437.8万円です。大卒新規学卒者の平均年収が280〜330万円と言われる中で、この金額は目を引きます。給与を理由にIT業界を目指す人がいても不思議はありません。
しかし給与や待遇は志望動機としては不適切です。企業が知りたいのは、「あなたが何をしたいか」「どのように会社に貢献できるか」です。給与は働きへの対価でしかありません。給与を志望動機に挙げるのは、選考を受ける企業に対して失礼だと考えましょう。
(参照:IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果|経済産業省)
会社に期待し自ら学ぶ姿勢が感じられない
IT業界はこの先も高い成長率が予測されます。会社に在籍していれば自身も成長でき、将来も安泰だと考える人もいるかもしれません。しかし自ら学ぶ姿勢が感じられない人は、IT業界では敬遠されるでしょう。主体的な勉強で知識と技術をアップデートし、技術革新に対応する必要があるからです。受け身の姿勢を感じ取られないよう十分な注意が必要です。
専門性のアピールで終わる
プログラミングやWebデザイン、コーディングなどの専門技術を持つ人は、専門性を強くアピールするでしょう。アピール自体には問題がないものの、それが自慢で終わってしまっては効果的な志望動機にはなりません。あなたの持つ能力が会社の業務に繋がることや、確実に貢献できることを示しましょう。
企業には新卒社員を即戦力として雇う意思は強くありません。能力そのものよりも、能力獲得の過程で得た学びや気づきに重点が置かれます。アピールだけで終わらないよう注意が必要です。
IT業界は未経験や文系でも挑戦できる?
意外と多いIT業界の文系職
IT業界で文系から挑戦できる職種は「プログラマー」「Webデザイナー」「Webマーケター」「営業」「事務(IT事務)」「人事」などです。IT業界の根幹となるエンジニアは、専門性の高い理系の職業です。そのため「IT業界」=「理系」というイメージが染み付いている人もいるかもしれませんが、実際には文系社員も数多く活躍しています。
ヒューマンリソシアの集計によれば、2023年時点でIT業界の志望者は理系以外の学部出身者が6割強です。文系出身者が理系出身者を上回っている現状が分かります。企業の教育・育成システムがしっかり構築されてきた証左と言えるでしょう。
(新卒でITエンジニアとなる卒業者は大きく増加|ヒューマンリソシア)
プログラマーは未経験者や文系からでも挑戦可能
プログラマーは理系職ではあるものの、ポテンシャルさえあれば学部学科を問わず未経験でも挑戦できます。IT技術者の不足が問題視される中で、人材の育成・教育システムを構築する会社が増えているためです。
経済産業省の調査によれば、2030年には約59万人(中位シナリオ時)のIT技術者が不足状態に陥ると言われています。そのため、業界にとってポテンシャルのある人材の確保が急務です。明確なビジョンを持ち、熱意を持って就活にあたる人は採用されやすい状況だと言えます。
プログラミングは2020年度以降学校教育でも必須化され、学びのハードルが下がっています。教育版マインクラフトなど子ども達が取り組みやすい教材も増え、難しいイメージは消えつつあります。しかし業務レベルに持って行くには、長い時間がかかることも事実です。侍エンジニアの調査によれば、エンジニアになるための学習時間の目安は1,000時間です。未経験から挑戦する人は大きな覚悟で挑む必要があります。
(参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省)
(参照:プログラミング習得にかかる勉強時間の目安|侍エンジニア)
Webマーケターは文系有利な側面も
Webマーケターの業務には文系の方が有利な面が多々あります。例えばユーザーの心理分析です。感情や印象を分析するには、ユーザー視点に立った共感力が必要です。共感力は芸術や文学などで培われやすく、文系学部の方が身近です。
また、分析結果を元にしたプレゼン資料作成やSEOライティングは、普段から文字の扱いに長けている文系に軍配が上がります。文系の人が長所を活かし、活躍できる条件が揃った職種です。
知っておきたいIT業界の現状と展望
市場の拡大により人材不足が続く
ITサービスの市場は、一つの市場が成熟し需要が落ち着いた頃に、新たな技術で市場が活性化する流れを繰り返しています。経済産業省の調査によれば、現在は「第3のプラットフォーム」と呼ばれる領域が活性化しています。第3のプラットフォームには「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」「ソーシャル技術」が含まれます。これらはICT(情報通信技術)の普及に欠かせない要素だと言われています。
市場は堅調に成長を続けています。IDC JAPANの調査によれば、国内ITサービス市場は2028年まで5%前後の成長率で推移し、2028年には8兆円を超える規模になることが予測されています。それに対し人材数は2019年を境に減少に転じており(経済産業省調査参照)、人材不足が深刻です。
しかし「やる気があれば誰でも歓迎」とは言い切れないのが現実です。人材のニーズは「第3のプラットフォーム領域」の技術者(新たな技術を持つ人材)が中心だからです。少ない技術者を多くの企業が奪い合う未来は、業界全体にとって健全とは言えません。ポテンシャルのある人材を有効活用する人材育成システムの構築が急がれます。
(参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省)
(参照:国内ITサービス市場予測を発表|IDC JAPAN)
DXの普及は安定期に入る
DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略です。IT技術を導入することで組織全体を変革し、より効率的で優位性のあるビジネスモデルの構築を目指す取り組みです。2018年より政府主導で進められ、IT業界に高い需要をもたらしました。
2024年現在、DX化の波が引いたことで、IT業界の需要は勢いを失っています。独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、2023年度時点で何らかの形でDX化に取り組んでいる企業は73.7%、従業員1001人以上の企業では96.6%に達しています。大企業は既にIT技術の導入を終えていると考えられます。
そのため、DX化に踏み切っていない小規模企業の需要を喚起するしかありません。しかしDX化に踏み切らない企業の87.3%は「取り組む予定はない」または「分からない」と回答しています。現在は既に「必要なところに必要な技術が行き渡った」状態だと考えるべきでしょう。
今後はDX導入後の問題点把握と改善、より低コストな仕組みの構築などに取り組み、業界全体で安定を維持していく必要があります。
(参照:DX動向2024 | 独立行政法人情報処理推進機構)
メタバースは将来急速に拡大か
メタバースはインターネット上の仮想空間でユーザー同士が交流する仕組みです。ユーザーはアバターと呼ばれる分身を動かし、ネット上での生活を楽しみます。ビジネスに活用すれば、バーチャルオフィスへの出社やバーチャルイベントの開催などが可能になります。家にいながら親密なコミュニケーションをとれるのが魅力です。
EMERGEN RESEARCHによれば、メタバース市場は2023年から2032年までに47.2%の成長を遂げると予測されています。今後のIT業界を支える大きな柱になるかもしれません。
(参照:Metaverse Market Size | EMERGEN RESEARCH)
AI技術の進歩が業界にさらなる発展をもたらす
IT業界の一部の仕事は、「将来AIに代替されるのではないか」との懸念があります。仕事が奪われることを危惧する人もいるかもしれません。
しかしAI技術を発展させるのはエンジニアの仕事です。既存のAI技術を保守、管理するニーズも生まれます。企業にAIを本格導入するための下地づくり(DXの推進など)も大きな仕事だと言えるでしょう。AIは業界にさらなる発展をもたらす可能性の方が高いのです。
競争が激しい業界だからこそ目的を示す志望動機を
文系理系を問わず志望者が多いIT業界は、就活の激戦区です。成長が感じられる業界の中で自身の能力を伸ばしながら、腰を据えて仕事ができます。
競争が激しい業界だからこそ、志望動機には明確なビジョンと仕事への熱意が必須です。「仕事をしていくうちに目標を見つけよう」という受け身の姿勢では、難関を突破することはできません。業界研究、企業研究をしっかりと行い、選考を受ける企業にあなたの魅力を十二分に伝える内容に仕上げましょう。
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